歩く

歩いている

自分の二本の脚で歩いている

いつか歩けなくなるとしても

いまは歩ける幸せ


歩いている

曇り空の下を歩いている

用事はあるがそれはどうでもいい

どこからどこへそれは分かっている


この路地は大通りへ通じていて

大通りは盛り場に通じていて

盛り場は海へそして他の陸へと続く

そのどれもただ通り過ぎるだけ


歩いている

このささやかな喜び

たとえ心に何を隠しているとしても

脚はこの星を踏みしめている



谷川俊太郎



どうして必要なときに必要な出会いがあるんだろう。人、場所、本、音楽…

それは神様が私を抱きしめている証拠。