枯れたと思っていた牡丹が翌年、鮮烈な紫色にはけで大胆に描かれたような白の絞りの見事な花を咲かせた時、
なんとかこの生命力と美しさを作品に留めることはできないだろうか...と思った。
しかしはさみを持った瞬間、一体私にこの花を切りとってしまう権利がどこにあるのかと思い自分のものにすることをやめた。

これがまず私の最初の芽生えだと思った。

私の精神が本当の意味でこのような境地に達する日が来るだろうか...。

今は自分のできることを精一杯しよう。
すべてがととのった時、きっと彼らの故郷に出向く日が来るだろう。


画像は岡倉天心-茶の本-より