太陽がいっぱい

近所の子供にアナと雪の女王のアナと呼ばれて可愛がられているけれど、
本当は私の好きなスペイン映画、ミツバチのささやきの主人公のアナから名前をつけた柴犬アナ。
アナは私が大変だった時期に来てくれた。
赤ちゃんの時はひどい問題児でどうなることかと思ったけれど、今は私の具合の悪い時や家族の不穏時など察して気を遣ってくれたり、公園では子犬の面倒までみるような子となった。
アナは大のクラシックファン。
私が部屋で音楽をかけるとアナは待ってましたと言わんばかりに縁側に座る。
好きなピアニストはリパッティとアラウ。グールドには狂気を感じ逃げていく。
オペラも大好きでイタリア歌曲がお気に入り。映画音楽ではニノロータの“太陽がいっぱい”がお昼寝のときのテーマ曲。
だいたいは明るい音楽が好きで不協和音には怒り回り出す。
夕暮れ時にシューベルトのピアノソナタを黄昏ながら聴き、遠くを見つめる佇まいは感心すると同様におかしさがこみ上げてくる。 
彼女と過ごしていると動物の直感は人間の感受性なんかよりよっぽどすごいと思う。
芸術で迷う時は彼女の態度を見るときもある。
そんなアナが望む事は私のアトリエに入ること、そこからいつも音楽がきこえてくるから。
でも彼女は庭と玄関で飼っているうえ、趣味は穴掘りとミミズの擦りつけなのでそれはいつも阻まれ叶うことはない。
しかし結局何よりアナが最も愛し、求めているのはお日様。
動物は人間よりも感じている。
生き物に1番必要なものを。