花菖蒲・春菜摘

待ちに待った花菖蒲の開花。

長い間ヨーロッパの文化に憧れを持ち傾倒してきたけれど、
今改めて日本の文化の美しさに心惹かれる。

日本画の簡素な美、
日本の花の強さとたおやかさ。
漢字の持つ意味、ひらがなの優美なかたち、
和歌のリズム...。

私の名前、“菜摘” は両親が万葉集の最初の歌からつけた。
この花菖蒲もまた、菜摘という名前。
歌は違えど万葉集から。


春山の 咲きのををりに 春菜摘む 
妹が白紐 見らくしよしも
 
春山の花が咲いている下で、春の菜を摘んでいる
妻の着物の、白いひもを見ているとなんともよいものだ。

春野に分け入って菜摘をしている妻の白い帯が、ひらひらと黄色の野の中で揺れている。